★旅の断片 ~中央アジア・キルギスの大自然2~
キルギスの夏。
空気が澄み渡り、草花がこれだけみずみずしい輝きを放つのは、きっと雨が降ったせい。
中国からキルギスへ入ったばかりの6月初旬、この頃はまだ肌寒い日もあり、お湯の出ない宿で水シャワーを浴びるにはちょっとした覚悟が必要だった。
時々、どんよりした厚い雲が空を覆い、気まぐれな雨が大地を湿らせる。日本の梅雨と同じように。
キルギスにも四季がある。
ほのかに夏の匂いが漂うようになる中旬、日一日と気温が上昇し始め、やがて天候も安定してくると、本格的な夏の到来だ。
カラっと晴れて、気温が連日40度に達することも珍しくない。
自転車を漕いで燃焼している僕の体感温度は45度くらいまで達しているんじゃないだろうか。
後ろにくくりつけておいた洗濯物も、1時間あればすっかり乾く。
覚えのある暑さ、この日差しの強さ。
インドの酷暑期を思い出す。
それでも不快だなんて思わないし、辛くもない。
むしろ気持ちがいいとさえ思えるのは、澄んだ空気と視界に広がる雄大な景色のおかげ。
やっぱりキルギスの夏は最高だ。
犬にさえ追いかけられなければ・・・だけど。